誰かが「シン・ゴジラはリアルだ」と言った時、そこには複数のニュアンスを想定することができる(当然過ぎて書くのも馬鹿馬鹿しくなる話だが……)。たとえば今適当に考えたものとして、以下のようなものがある:
 (1)現実のロジックをエミュレートするのがうまく、仮にゴジラが出現したらこうなるであろう、という世界の様態を描けている
 (2)主に政治家の行動について、物語上の機能として/意志の統率された単位として抽象化することなく構成員の様子まで描写している
 (3)絵作りについて、役者の肌の汚さまで画面に映すようにしてある
 思った以上に雑列挙なのでちゃんとした語りは別の人に任せるとして。他にも論点は無数にあるだろうし、また上記の中でも実際には(1)を更に細分化したもの(たとえば、「第一形態を見た市民がSNSに興じるのはまあ身も蓋もなくリアルちゃう?」とか)についての言及が多いのかなーとは思う(無制限にこれが現実だ、とか思ってる/語ってる人はそんなにいないはず)。とりあえず論点を整理せずにリアルだいやリアルじゃないだのと言い募っても何の意味もないのでそこは最低限ちゃんと語法を表明しようぜと公開当時からずっと思っている。こうやって藁人形相手に投げ込みをし始めるのは普遍的な駄目さの成立の仕方なので本当にうんざりしており、キャッチボールしようぜという気持ちが湧いてくるのだが、もう啓蒙への情熱とか無いし優れた人間への期待も枯れたのですごいロリババァとかに導いて欲しい以外の感情がない。