『もやしもん』10巻が非常に面白かったです。
 ネタバレはあんまり好きじゃないので避けたいですが、ひとつだけ言うとするなら、「農、関係ねえ」に尽きます。9巻ラストにおけるマリーの呼び出しに応じる形で始まった海外編、その土地ごとの文化に触れつつ進行していく訳ですが、発酵も農も関係ないです。マジで異文化紹介まんが。でもそれが面白いんだから仕方ないじゃない、という。
 今までもその片鱗は随所に現れていたように思うんですが、この漫画はかなり文化の流動性を肯定的に扱っているような印象です。それは同一国内での時間経過による変化であったり、或いは他国の文化の流入であったり。日本の食卓のごった煮っぷりも、海外における"間違った"日本文化の受容も、そこに住む者たちの好いように在るのならそれでいいと、教条的な押し付けをすることなくフラットに扱っているように感じます。無論、こういう姿勢が一方では政治的な不誠実さを含むものでありうる、とは言えましょうが、でも僕には、今回の海外編を貫く雰囲気が全編通して非常に快いものに感じられました。それだけで十分です。
 
 あとまあ、キャラがどんどん仲良くなってきますね。特に憂いを振り切った長谷川さん超かわいい。