ある評価軸の示す正負が作品によって反転する、なんてのは日常茶飯事で、誰もブルータルデスメタルエレクトロニカを同じ俎上で比べたりはしない。暴虐性や繊細さといった要素がサブジャンル群に対してそれほど横断的に特長として機能しないことを僕たちは知っているはずだ。少なくとも、音楽については。
 なのにこれが物語となると、途端に不寛容が鎌首をもたげ、宗教戦争の幕が開く。極めて面倒くさい話だと常々思ってはいるものの、物語がある種の神聖さ、不可侵の「物語」として読まれている証左ではあり、無碍に批判することも憚られる。でも実際ちょう面倒なので死ねーッとなる。