パシフィックリム。1000円で映画が観られる映画の日であった。
 すげー面白かったですね!! 以上のコメントがそんなにない、というのは僕の問題意識には特に触れるところがないから(批評性(って何?)がないとか内容がないとか言うつもりは全くない、とか付言する必要はあるのだろうか)。敢えて言うなら、僕が普段考えているようなアングルに全く関わることなく面白いロボット戦闘ものを描いている、という事実が僕にとって重要な気はする。普段から手癖で処理できる範囲のものしか観てないしなあ。
 全体的に、ありがちな構図だと思っていたら(こちらの予想が勝手に)裏切られる、という展開が多いように感じる。たとえば機能不全な父子関係というモチーフは普通ならば父が息子を残して死地に赴くものでは? と考えてしまうし、たとえば兄を喪った後悔や苦悩が物語のかなり早い段階で解消されて以降、主人公の葛藤ではない要素で物語が駆動されていくのはかなり観ていて意外に思えた。見慣れた構造が少し意外な方向に料理されている、と言うのかな。そうやって意外さを感じ取ってしまうということは多分、怪獣ものもロボットアニメも普段あまり観ない僕が観慣れたアニメやゲームの文法で物語を解釈しようとしていることの証左ではあって、つまり脳が勝手に「これは手癖で解釈できる」と考えて身構えるだけの馴染み深い要素を備えつつ、しかし確かに作品固有のロジックは僕の普段触れない領域のそれである、という僕にとってかなり馴染みの薄い位置に属する作品であることを意味するのかなー、とか。だとするなら、パシフィックリムを捉える言葉とアングルを身に着けたいような気もするし、しかし一方で、ぼけーっとしながらうわーすげーすげーと楽しめる現状のような無知さを保ち続けるのもいいのかな、という気もする。
 
 あとアレ、古谷徹の声はやっぱり好き。