無限にKind of BlueとかSoftsとか聴いていると、やっぱり自分にはロックを聴く感性がないんじゃないかなという気がしてくる。
 より遡って言えば、おそらくブルースというものが理解できていない。60年代のバンドに強く惹かれるのは彼らが擁する遺伝子の中でも特にカントリーに反応してしまうからではないのか、と雑なジャンル受容論をブチ上げたくもなる。個別の演奏の好き嫌いはある。しかしその先にどうしても行けない。先日、還暦を迎えた父と酒を飲みながら三時間くらいずっと音楽の話をしていたが、父は頻りに「好きなプレイヤー達が傾倒していったフリー・ジャズというものの価値を知りたくて何十年も努力してきたが、俺には結局わからなかった」といったようなことを語っていた。そういうものは誰にでもあって、興味関心の厚い部分よりもむしろ、そういう意識的に埋めることのかなわない欠落をこそ見据えていかなければいけないのではないか、と最近は考えている。