所謂台本SSへのdisとして「地の文を書くことから逃げている」というのをたまに見るが、そう書く者にとっての地の文って義務的に書かれなければならないものなのかなあ、と考えるとまあ悠長な話だよなあと思ってしまう。だったら潔く捨てている台本SS作家の方が万倍マシだ。比べるのも(後者に)失礼な話だが。
 難しいことをこなすのが偉い、という下らない価値観くらいは早々に捨てておかなければ立ち行くまい。そも、何をすれば偉い、だなんて甘えた考えが許されないところに創作というものは成立しているのだから。楽してズルして成したものが苦渋の果てに突き詰めたものよりも素晴らしいだとか、そういう絶望的な不条理を飲み込むくらいはできないといけない。世界に都合のよい厳しさを求めてはならない。