物語における恋愛の必然性について、というのは個人的にかなり興味のあるテーマです。
 鞘と刀のように噛み合う設定を付与されたキャラ、前世の因縁とかそんなんで宿命付けられたキャラ、などといった結ばれる理由のはっきりとしている関係性の良いところは、物語が美しく収まること、そして「離れる不安が小さい」ということではないかと思います。前者については、たとえば月姫における不死性と直死の対応を考えると良いんじゃないでしょうか(オンリーワンたる「殺せる者」)。後者についてはまあ文字通りで、結ばれる理由があるなら、何となくは離れないでしょう、ということです。
 そして、後者こそが逆説的に「必然性を持たない」関係性の価値を保証する事実ではないか、とも思えます。なんとなく終わってしまう可能性を常に孕むがゆえに、その関係性それ自体の価値が自動的に高まるという。