雪虫をみた。本格的に冷えたな、と感じたのはたしか二週間ほど前のことで、本当ならあの頃に飛んでいても良かったのでは、とも思うのだけど。朝夕はともかく昼はそこまで冷え込まないここ数日を鑑みるに、なんだか不思議なタイミングのような気がする。もちろん、僕が見ていないところでもっと早く飛んでいたのかも知れないが。
 北海道の秋というのは妙に曖昧なもので、それはやはり気温の低さによる「雪の降らない冬」といった趣のせいなのだろうけど、のみならず、山が紅葉しきらないという視覚的な不全感も秋の微妙さに寄与しているのではないかと思うことがある。広葉樹林に針葉樹が後から植樹されることにより、遠目には森が斑にしか紅葉しない景色が広がるのだ。一面の紅葉というものを観られる風景は、僕の行動範囲内には余りない。……とはいえ、これが北海道限定の話である確証はなく(たぶん違うだろう)、飽くまでも秋の秋らしくなさを助長している一因であるように感じるよ、というだけの話だ。