続き。
 要するに「身近な食べ物を情熱的に褒める」というスタイルは感覚のインフレーションの想像という本来グルメ漫画が有していた筈のアドバンテージを敢えて捨て去るものであり、そこでは捨て去ったアドバンテージを覆すだけの能力―――日常感覚を異化し、異なった世界を魅せる能力が要求されていて、それは決して簡単に行使できるものではない。描かれる対象が卑近であればあるほどに、描く側の技巧は要求される。
 まあ要するに等身大のグルメみたいなのめっちゃ難しい割にカジュアルに日常感覚を使って世界を描くのすげー的が外れてない? 大丈夫? 的な想いがあって(前日でも記述したけど要は非日常の対象に日常感覚の延長でアクセスできるジャンルで日常の対象を扱うのなら非日常的な感覚を介在させるセンスが要求されるやろって話)、でもまあ現にそういうのたくさんあるということは現前するそれらが何がしかの淘汰を経たうえで美質を備えた作品であり僕がそういうのよくわかんないだけなのかなーみたいな気もしていて、ここらへんグルメ漫画ちゃんと読んでる識者とかに聴いてみたいと布石を打ちつつこの話は終了。