人間は人間の顔の造作を詳細に思い出したりする能力をふつう持たない。にも関わらず、他人の顔を想像し、こんな顔だったなあと思うことは問題なくできる。脳科学の領分でどのような説明が付けられているのか知らないけれど、そこで起きているのは(自分の感覚を主観的に言葉で記述する限りにおいて)雑に形容してしまえば「感じ」の想起とでも呼ぶべき働きであるように思えて、不確かな顔を想起しているというよりは、その顔に抱いている印象のみを呼び出しているような気がする。
 ここから(二段くらい前提を飛ばすと)ふたつの話が可能で、ひとつは「考えたことを書く/書くことで考える」という例のフレーズにまつわるすれ違いの話、もうひとつは創作において陥りがちな手癖の問題についての話だ。いま現在の興味関心として強いのは後者の問題で、というのは当然MMDを触っているからなのだけれど、こういった部分について詰めていくことで初心者キラーとして機能してしまう密教的な/或いはスポ根的なつらさを解体できないかなーということを考えていて、やっぱりこういう問題は馬鹿が取り組まなければならないよなあと思う。ので自分でやるということだ。