相手を屈服させる時に重要なのは屈服することへの精神的な障壁を下げてやることであり、それはつまり恥や敵意というものをなるたけ奪い去って互いに穏やかな気持ちで手を取り合うことの志向だ。味方を動員して衆人環視の中で言質を取りつつ論理の自壊を狙って詰めるなんてのは最悪の一手で、これは説得可能性を最初から捨てて相手の尊厳を破壊するための動きでしかない。のだが現行インターネッツでは正義側の動きがデフォでこうなってるのでまあ本当に事実は創作よりひどい。ディストピアは本当にあったんだ!
 なお上記前者のような動きは言うまでもなく説得する側に割り切れない感情を残しうる。完全に間違っており愚かで暴力的な者を前に、説得者は拳を振り上げずに手を取らねばならない。それは本当に―――説得者が聖者でない限り―――最悪にストレスフルな構図であって、だからそのような苦渋を敢えて甘受できる者でなければ説得側に居座り続けられる筈もない。現実にはみんなストレスフリーにクズの尊厳破壊ゲームに従事してるので健やかに正しさの白の中を生きていけるわけだが。