FF9の話をされると、僕の心の一番純粋なところが元気になります。当時は小学5年生くらいだと思うんですが、あの頃にしていたFF9にまつわる妄想の数々を、今でも思い出すことができます(たかだか10年程度の昔、ですが)。近所の森や川をFF9の作品世界中のそれに見立てて、脳内でBGMを鳴らしながらぼーっと妄想に耽るのがとても好きでした。殊に、『あの丘を越えて』を脳内再生しつつなだらかな丘陵を登っていくのが好きで。晴れていればもう、他になにも要らないくらい幸せでした。今でも、当時よく歩いてた場所を訪れると、自然と音楽を思い出します(……こういう経験から、僕はいわゆる聖地巡礼に対し、とても肯定的なのかも知れません。作品を追想する手助けとして、「同じ風景」というのはとても強いものだと思うのです)。
 
 あの頃の感性はたぶんもう二度と蘇らない類のものだと思うので、当時やってたゲーム/読んでた本は僕の中で別格というか、聖域化された領域に置かれてるような気がします。「物語を楽しむための純粋な視点になりたい、自分の人格なんて意識せずにただ物語に触れたい」とどこかで書いた覚えがありますが、「あの頃のように受容したい」というのと同じことなのかも知れません。