人生初のあらとんをキメた。つけ麺を食べること自体が初めてだったので、一般的なつけ麺像と比べてどうなのか、という視点では評価できないのだけれど、一部界隈で「キメる」という用語が当てられている理由が何となく理解できた気がした。
 山と盛られた麺は噛み応えも強く、咀嚼しているだけで満腹感を刺激されるような印象で、つけ汁は見た目の色と粘性から想像できる通りの身体に悪そうな味わい。麺の塊はそれ自体がひどく絡んでおり、丁度よいひとかたまりを引き摺り出すにもかなりの労力を強いられる。がんばって麺を取り出し、汁につけ、がんばって咀嚼し、飲む。麺が尽きるまでその繰り返しだ。味がそもそも中毒的だというのは確かにそうなのだけど、漫然と食べることを許さない作業感の強さも、その妙な中毒性に寄与しているのではないだろうか、と思った。反復作業がもたらす食事の中毒性。連想するのは落花生とか。整えて食べて整えて食べて、のルーチンワークに支えられた快楽。
 つけ汁を割って飲ませてくれるサービスも面白いな、と思ったものの、底に溜まった沈殿物だけは流石に飲めなかった。今度行く時はよく混ぜてから飲みたいと思う。