大層暑い日であった。冷水をごくごくしすぎて腹を壊すという、毎年恒例のアホムーヴを決めるなどした。全くもって学習しないのは如何なものかと我ながら思う。
 きんモザに関して、シノは果たしてアリスを見ているのか、と問うことができる。憧れは理解から最も遠い感情だと評してみせたのは藍染惣右介だが、シノのそれは金髪の少女という属性が実際の憧れの対象人物よりも先行するという一点に於いて、藍染の語ったような憧れの構図よりもなお深刻な相手への無理解を想像させる。金髪の少女が現れたのでシノの感心が奪われるのではとアリスが危惧する状況―――というのは、端的に異様だ。幼い頃の約束によって二人の関係性に特権的な強さを付与しておいてなお、そのような展開を挿入することが可能である、という事実が僕には凄まじいことのように思われる。
 そして勿論、最も重要なのは、そのような洒落にならない設定の脆さを常に露呈しておきながら、観ている僕にはその世界の優しさの崩壊する予兆が一切読み取れなかったことだ(急に自分語りめいてしまった(無論これは悪意的な二次創作が不可能であるという主張ではない))。シノのキャラをあれだけピーキーに設定しておきながら、なお世界の強度には余裕が残ってすらいる、そのような世界構築の手管について考えるべきだ、ということ。